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「ありがとう!」と私に言った金魚の実話。

「ありがとう!」と私に言った金魚の実話。
 夜店から持って帰った金魚が、一匹だけ生き残り、私は毎日、話しかけながら彼(彼女?)に餌をあげるのが楽しみだった。
 四年も過ぎると大きなり、紅色も薄まりフナに戻ったかのようだった。
 ある朝、出がけにいつものように餌をあげると、無視して食べない。
 私は初めての事で体調が悪いのかと心配したが、金魚は静かに泳ぎ始めた。
 私は少し慌てて「ほら、美味しいよ!」と言って鼻先に餌をまいた。
 金魚は不思議なほど全くそれにを気にせずゆっくりと泳ぎ続けた。
 まるで私に見せるかのように。
 悠々と美しく、優しく。しかし厳粛に泳いだ。
 私は当惑し、見守るしかなかった。
 私はその背中が、私に笑いかけていることに気付いた。
 と、その瞬間、彼(彼女)の意識が私に飛び込んできて、私の体内で「ありがとう!」という声が響いた。
 私は初めての経験で、本当にびっくりしてしまい「お前、何しゃべってんだ!」と心の中で叫ぶのが精いっぱいであったが、ひょっとすると実際の聲に出ていたかもしれない。
 私は金魚がしゃべった事としかもお礼だったことが不思議すぎて霧に包まれたような気持ちのまま家を出た。
 夕方帰ると、妻が「金魚さん、亡くなったよ」と言い、金魚は殆どシルバーで美しい姿で逝き、庭に丁寧に埋葬したとも言った。
 私はその瞬間、朝の信じられないほど優しく優雅に泳ぐ金魚の姿と「ありがとう!」という言葉を思い出した。
 そうか!彼(彼女)は私がその命をいとおしく思い、その姿を見るのが何より好きなことを知っていたのだ!
 だから、最後に亡くなる前に、全てのエネルギーを使って、今までで最高に美しい姿を見せ、お礼の言葉を伝えてくれたのだ。
 
 この世は、「思いやり」が作っているのかもしれない。
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プロフィール

bokudoart

Author:bokudoart
 幼少より絵を描く事、中国や北方・中央アジアの歴史が大好きであった。大学を卒業し会社勤めのあと中国の美大で水墨人物画を専攻し美術史専攻の大学院にも進み中国の古文献読破に数年間没頭した。以来、約二十年画家・美術団体代表として活動中。中国での生活で、今後の世界における日本の果たすべき歴史的役割を明確に知った。
 1万年以上途切れることなく続いた縄文文化に根差した日本という国の文化の素晴らしさを日本人は自覚し世界にそれを広めなければならない。青学大卒、南京芸大院修

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